こんにちは、ライトです。
たつや
ライト
あさみ
ライト
たつや
ライト
ライト
この記事はこんな人におすすめ!
- 営業・企画・マーケで「もっと成果を出したい」と感じている20〜30代
- 転職の面接で「実績」をどう語るか悩んでいる人
- 話題ブランドの「何がすごいのか」を自分の仕事に転用したい人
正直に言います。最初は「どうせ流行りのスイーツ店でしょ」と思っていました。でも実際に並んで、観察して、調べてみると、これはビジネスモデルとして相当面白い会社でした。「ドーナツを売っている」のではなく、「選ぶ・並ぶ・持ち帰る・語る」という体験ごと商品にしている。それが収益になっている。
この記事の結論を先に言います。I’m donut ?の強さの本質は「おいしいドーナツを作ること」ではなく、顧客観察を起点に体験を設計し、店ごとに勝ち方を変えて高密度販売を実現しているところにあります。この型は、そのまま自分の仕事に使えます。
今回のテーマ
I’m donut ?(アイムドーナット)は、福岡発のフード・ブランド開発会社「株式会社peace put」が運営する生ドーナツ専門ブランドです。2022年3月に中目黒1号店をオープンし、現在は東京・京都・神戸などに国内10店舗以上、ニューヨーク・台湾へも海外展開を果たしています。peace put全体では2026年3月時点で8ブランド・国内28店舗・海外3店舗を抱える、未上場ながらブランドを量産し続けている食の会社です。
なぜこの企業を取り上げるのか。それは「標準化しないのに拡大できる」という、通常のチェーン経営の常識を真正面から否定したまま成功しているからです。飲食チェーンは普通、全店舗で品質を均一化して規模を出します。でも、I’m donut ?は近接エリアに出しながら、店ごとに役割を変えている。これはチェーンではなく、ブランド編集の連続です。
この記事を読み終わると、「体験を商品にする発想」「顧客行動を観察して勝ち筋を見つける力」「案件ごとに勝ち方を変える型」という3つが持ち帰れます。転職面接で使えるレベルで。
驚きの数字
渋谷店に並んだのは、平日の午前11時過ぎでした。さすがに空いてるだろうと思ったのが間違いだった。青山通りの歩道が、横断歩道の先まで行列で埋まっている。コーンやテープによる誘導もなく、スタッフが声がけしながら列を整理しているその光景を見て、最初に思ったのは「これ、飲食店じゃない」でした。
並んでいるのが若者だけだったら「ああ、流行りスイーツか」で終わっていたと思います。でも実際の客層が、全然違った。スーツ姿の40代男性が、スマホを開いてメモを取りながら並んでいる。箱のサイズを確認するように、店頭のポップを眺めている。手土産リストを作っているんだと気づいたのは、その後ろにも同じような人が2人いたからです。これはもう「映えスポット」じゃない。贈答ビジネスの目的地に、完全に昇格している。この発見が、僕の中で「I’m donut ?はただのスイーツ屋ではない」という確信に変わった瞬間でした。
数字を見ると、その確信がさらに裏付けられます。
- 2023年時点、I’m donut ?都内4店舗が各店で毎日約3,000個を販売。少数立地でこれはすごい回転数です。
- 同年、peace put全体の月商は約2億円。未上場・10店舗規模でこの数字は、相当な高密度販売が成立しています。
- 2026年3月時点でpeace putは8ブランド・国内28店舗・海外3店舗へ拡大。2022年の中目黒1号店から4年でこの規模です。
- 比較軸として、ミスタードーナツは2026年3月期第2四半期時点で1,057店を展開。桁が違う規模です。でも話題性の密度では、I’m donut ?はそれに引けを取らない。
つまり、大量出店でも低価格でもなく、少数の立地で高密度・高話題を作る構造が成立している。これって、量を捨てて質を選んだということです。そしてその捨て方が戦略的に正しかった。
事業の正体
正直に言うと、「生ドーナツを売っている会社」という理解は半分しか合っていません。
peace putの会社メッセージには「味だけでなく、見た目や香り、空間に至るまで、五感すべてで楽しめる商品と体験づくり」と明記されています。そして採用面では、全員を「職人」と定義しています。これは飲食業の採用文句ではなく、ブランドを複製するための文化設計です。
戦略でこう見る
この会社の本当の商売は「ドーナツ販売」ではなく、「体験の設計と複製」です。収益源は店頭の回転率と来店密度ですが、その来店動機を作っているのは空間・食感・SNS拡散・手土産需要・ブランド横断回遊の組み合わせです。継続課金ではなく、「一度で終わらない」状態を商品刷新と体験設計で作っている。サブスクではないのに、反復来店が起きる構造です。
参入障壁の本体も、「生ドーナツ」というカテゴリ名ではありません。代表の平子良太氏を軸にした商品開発力、顧客観察から売れ筋を組み替える感度、立地ごとに役割を変える店舗設計、空間・制服・陳列まで含む世界観の一気通貫、これら全部を複数ブランドで同時に動かせるオペレーションです。単品模倣はできても、「店ごとに違う正解を量産する」のは真似できません。
戦略解剖①
平子氏は、前身のアマムダコタンで「中身が見えるパンに人がワクワクしている」という顧客の反応を観察し、「巻くと全く売れない」という現場データから売れる陳列を作ったと語っています。アンケートではなく、行動を見た。ここが出発点です。
これって、単にドーナツを売っているんじゃなくて、「食べに行く理由そのもの」を商品にしているってことなんです。
渋谷店の店内に入ると、その設計思想がリアルに見えてきます。打ちっぱなしのコンクリートに温かみのある木材を合わせた内装、入口から時計回りのワンウェイ導線、オープンキッチンの「見せる製造」。トレーとトングを持って左から右に回りながら、80種類のドーナツをひとつひとつ選んでいく。これって、意図的に「迷わせる」設計なんです。迷う時間が長いほど、財布のひもがゆるむ。商品開発じゃなくてUI設計の発想です。
原宿店はその逆でした。駅から1分、メニューは絞って、揚げたてを受け取ってその場で食べる。注文してから商品を手にするまでがとにかく速い。渋谷店が「選ぶ体験を売っている」なら、原宿店は「揚げたての瞬間を売っている」。同じブランドなのに、UXが全然別物です。
I’m donut ?が取り込んだ未充足ペインは「甘いものが食べたい」ではありませんでした。「選ぶ楽しさ・見つける楽しさ・体験を誰かに持ち帰りたい」という欲求です。だから同社は、味だけでなく陳列・空間・手渡し体験まで商品化した。食品カテゴリではなく、リテールエンタメとして設計しています。
海外展開もこの延長です。I’m donut ? NYC公式は「daily handmade」を前面に出しています。現地で量産するのではなく、手作りの体験価値そのものを輸出している。そのスピードも異常で、2022年3月の中目黒1号店から2025年4月のニューヨーク進出まで3年です。
戦略解剖②
では何を「捨てた」のか。ここが戦略の核心です。
I’m donut ?が捨てたのは、全国一律の標準化・低価格競争・郊外大量出店・SKUの全店共通化です。集中したのは、都心高感度立地・話題化・手作り感・店舗個性でした。
実際に両店舗を歩いてみて、「近いのにカニバらない理由」が体で分かりました。渋谷で80種類を前に30分迷った人が、翌週また原宿に来て「揚げたてを秒で食べる」体験をする。これは同じ行為の繰り返しじゃない。渋谷店の重厚なコンクリート内装と、原宿店のイエローが差し色のポップな空間は、世界観まで別の店です。ブランドとしての一貫性は保ちながら、体験の「目的」を変えることで、両店に来る理由を別々に設計している。これがカニバリゼーションを起こさない本当の理由です。
戦略でこう見る
peace putはミスタードーナツ(1,057店・量と網で勝つ)やクリスピー・クリーム(グローバルブランド力で勝つ)とは全く違う軸で勝負しています。「行列ができること自体を広告費の代替」にしている可能性があります。表参道・原宿・渋谷・中目黒という可視性の高い街に集中出店することで、行列を作って話題にし、SNS拡散を起こす。従来の外食マーケティング費用を、立地と体験設計で代替している構造です。
そして2025年10月の渋谷宮益坂では、I’m donut ?とNeo Nice Burgerを同時出店。2026年春の横浜ハンマーヘッドでは3ブランドを同時出店する計画が公式発表されています。単店の成功だけでなく、「街単位でブランド群を置く」モデルへ進化しています。これはもはや、一個人の人気店ではなく、体験型フードブランドの設計会社です。
ライト
「標準化しないのに拡大できる」って、実は組織設計の問題でもあります。peace putが全員を「職人」と定義して外食研修手当まで出しているのは、世界観の複製を現場に任せているからだと思います。ここ、マジで参考になります。
定説 vs 逆説
ここで3つの逆説を見てほしいです。どれも「常識、違った」ってなります。
逆説1:ドーナツは安く・どこでも同じ品質が強いはず
一般的にドーナツは「安く・早く・どこでも同じ」が強いと言われてきました。でも実は、I’m donut ?は手作り・行列・高感度立地・空間体験を前面に出した。なぜ機能したか。第3次ドーナツブームの中で、「新食感という体験」と「行きたい理由」を作れたからです。生ドーナツの独自食感はSNS時代の拡散と相性がよく、都内4店が各店毎日約3,000個という高回転販売を実現しました。
逆説2:近接出店は客をカニバらせる
普通、同じブランドを原宿・表参道・渋谷・中目黒と固めて出せば店同士で客を食い合います。でも実は、店ごとに役割を変えることで需要を分散した。原宿は回転率重視、渋谷は多品種重視というように、立地単位で「目的来店」を設計したからです。「近いのに別物」として複数店が同時に成立しています。
逆説3:グルテンフリー・ヴィーガン対応はニッチすぎる
アレルギー対応やヴィーガン対応は、主力ブランドとは分けるべきでないという考え方が多いです。でも実は、I’m donut ?はグルテンフリー、さらにグルテンフリー&ヴィーガンを別ブランド化し、専用製造環境まで用意した。ブランドの核を「ドーナツ」から「食体験の自由」に広げたからです。食べられない人を市場から除外しない設計にすることで、通常ブランドでは取りこぼす需要を新たな来店理由として取り込んでいます。
仕事にパクる方法
ここまで読んで、「美味しそうなドーナツの話だったな」と思った人がいたら、ちょっと待ってください。ここからがあなたの年収に直接関わる本番です。I’m donut ?が使っている戦略の型は、業種も職種も問わず、そのまま自分の仕事に移植できます。3つに絞って解説します。
転用1:商品ではなく”体験単位”で設計する
I’m donut ?が売っているのはドーナツだけでなく、食感・空間・選ぶ楽しさ・持ち帰り体験でした。これを職種に置き換えると、営業なら「機能説明」ではなく「導入後に顧客の現場がどう変わるか」を提案書に書くことになります。企画なら商品仕様だけでなく、選ばれる瞬間・共有される瞬間まで設計する。マーケなら、認知施策より先に「人が話したくなる体験の差」を作ることです。
仕事にパクるポイント
【面接・評価での言語化例】
❌「商品改善を担当しました」
✅「顧客接点を分解し、比較検討時ではなく体験時の感情が動く設計に変えました。その結果、選ばれる理由を構造として作れました」
「機能改善」より「選ばれる構造を作った」の方が、マネージャーへの印象が全然違います。
転用2:顧客の言葉より、顧客の行動を観察する
平子氏は「巻くと全く売れない」という現場観察から、見せ方を変えてヒットを作りました。渋谷店で並んでいる間、スタッフが先頭から順番にメニューの説明をして回っていたのですが、面白かったのはその後です。「何が人気ですか」と聞いてくるお客さんに答えながら、スタッフがさりげなくそのお客さんの反応を確かめていた。何種類目で目が止まるか、どこで迷いが生じるか。あれは現場でリアルタイムに顧客観察をやっているんだと気づきました。
アンケートの自由回答だけでなく、どこで止まるか・どこで離脱するか・どの資料ページで反応するかを観察する。営業なら商談録音、企画なら利用ログ、管理部門なら申請フローの詰まりを観察対象にするとよいです。
転用3:全方位に頑張らず、案件ごとに勝ち方を変える
I’m donut ?は原宿と渋谷で役割を変えました。これを転用すると、営業なら「新規開拓案件」と「深耕案件」で提案書の型を変える、企画なら「集客商品」と「利益商品」を分ける、管理部門なら「全社共通ルール」と「現場裁量」を分ける、が正解になります。
仕事にパクるポイント
【面接・評価での言語化例】
❌「全部対応しました」
✅「案件タイプごとに勝ちパターンを分け、リソース配分を最適化しました」
✅「提案フローをあえて統一せず、成果最大化のために設計を分けました」
「勝ち筋をチームに実装できる人」は、マネージャー候補として市場価値が上がります。
ライト
この「案件ごとに型を変える」という発想、年収が上がる人の共通項だと思います。頑張る量じゃなくて、再現可能な勝ち筋を持っているかどうか。そこが分かれ目なんです。
未来への投資と死角
peace putが今打っている次の一手は、3本柱で整理できます。
一つ目は海外展開です。2025年4月にニューヨーク、7月に台湾へ出店し、「日本発・職人系・体験型ドーナツ」というポジションを海外でも検証しています。I’m donut ? NYC公式は日本国外初店舗だと明記しており、2022年の中目黒1号店から3年でここまで来たスピードは異常です。
二つ目は食習慣拡張です。2025年11月にはI’m donut ?渋谷をグルテンフリー業態へ改修し、グルテンフリー&ヴィーガン業態へ刷新する店舗も設けました。専用製造環境まで整備しています。既存強みの延長でありながら、需要の母集団を広げる成長曲線の作り直しです。
三つ目は多ブランド複合出店です。2025年10月の渋谷宮益坂でのI’m donut ?×Neo Nice Burger同時出店に続き、2026年春の横浜ハンマーヘッドでは3ブランドを同時出店する計画が公式発表されています。「街単位でブランド群を配置する」モデルへの進化です。
ただし、死角は明確にあります。手作り前提のため、拡大と品質維持が衝突しやすい点が最大のリスクです。加えて、ブームが平準化すると「話題に並ぶ理由」が薄れる可能性、都心一等地依存による固定費圧力、生ドーナツというカテゴリ自体のコモディティ化、ブランド数増加で平子氏の編集力を組織で再現できなくなるリスク、これらが積み重なると失速しうる。「ここまでは強い。でもここから先は油断できない」という構造です。
私の感想
正直に言います。調べる前は「インスタ映えで話題になったスイーツ店でしょ」と思ってました。でも実際に行って、観察して、解剖してみると、全然違った。
一番衝撃だったのは、並んでいる途中でした。行列に並んでいるのに、誰も退屈そうじゃない。スマホで種類を調べている人、一緒に来た人と「何買う?」と話し合っている人、手土産の箱数をメモしているビジネスマン。並ぶ行為そのものが「選ぶ体験の前半戦」になっているんです。普通、行列はコストのはずなのに、ここでは体験の一部として機能している。「これは設計されたものだ」と気づいた瞬間、この会社のすごさが一気に見えました。
そして「巻くと全く売れない」という平子氏の観察から話が始まっているというのが、僕には刺さりました。アンケートや会議室の議論じゃなくて、現場で顧客の行動を見て、そこから仮説を立てて、商品を変えた。この順番が大事なんです。
「生ドーナツ」という言葉は誰でも真似できます。でも「顧客の行動を観察して勝ち筋を再定義し、店ごとに役割を変えて高密度で成立させる」という実行システムは、そう簡単に真似できない。だから4年で8ブランド・28店舗・海外3店舗まで来ている。
調べてよかった一件でした。
たつや
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あさみ
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たつや
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結論
I’m donut ?が証明したのは、「売るものを変えなくても、体験の設計を変えるだけで市場の常識を塗り替えられる」ということです。
彼らはドーナツというカテゴリの中で、価格でも量でも戦っていない。「行く理由そのものを作る」という方向に全リソースを集中しました。顧客の行動を観察して勝ち筋を言語化し、店ごとに役割を変えて高密度販売を実現した。この型は、営業でも企画でもマーケでも使えます。
キャリアで年収を上げたい人が学ぶべきは、「頑張る量を増やす」ではなく「自分の仕事に再現可能な勝ち筋を設計し、それを言語化して面接で語れるようにする」ことです。I’m donut ?の戦略は、そのまま自分株式会社の経営戦略に転用できます。
📝 今週の宿題
今あなたが担当している案件を2つ思い浮かべてください。その2つで、「やり方を変えるとしたら何を変えるか」を1つずつ決めて、明日の朝イチで手帳に書いてみてください。「なぜ変えるのか」の理由まで書けたら、それはもう面接で語れる実績の種です。I’m donut ?が原宿と渋谷で役割を変えたように、あなたの仕事にも「勝ち方の使い分け」が必ずあるはずです。
企業研究をしたのではなく、戦略の型を盗んだ。それがこの記事の目的です。
すべての挑戦者の手に、勝てる「戦略」を。戦略を知れば、世界は読み解けるゲームに変わる。その確信と武器を届けることが僕のミッションだ。

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